プロレスはなぜ、技を受けるのか?

プロレスはなぜ、技を受けるのか?
前回「プロレスが格闘技のそのもの」だということを説明しました。
そして、この主張には必ずついて回る反論があることを説明しましたね。

「なんでプロレスは相手の技を受けるんだよ!」

 
これです。
この質問にキチンと反論が出来なかった為に昭和のプロレスファンは本当に苦渋を飲まされてきました。
 
「プロレスは受けの美学なんだよ!」
「相手の技を受けきって勝つから凄いんだよ!」
「プロレスラーの本当の武器は打たれ強さとスタミナなんだよ!」
 
なんて事くらいしか言えなかった。
そして一発で逆転されてきましたね。
 
「だからショーだって言われるんでしょwww」
 
この一言で完全に轟沈しました。
だって私達ファンがなにを言っても、実際にリングの上では相手の技を受けながら(素晴らしい)試合を続けるプロレスラーがいる訳ですからどうしようもありません。
 
私もしばらくはこの問答でカッカして真っ赤になって反論しては返り討ちに合うということを繰り返していました。
 
 
 
でも、今なら私はこれにもカンタンに答えることが出来ます。
 
答えはこれです。
 

格闘技はそもそも見世物だったから

 
前回、説明したように格闘技の源流パンクラチオンは、元々は奴隷や捕虜が自由や一攫千金を掴むために命掛けて戦った見世物から始まっています。
 
興行主が奴隷や捕虜から戦えそうな者を買い、逃げ場のない各地の闘技場で徒手空拳やあるいば武器を持たせて戦わせどちらが勝つか?を賭け事にしていました。
映画なんかでもこの闘技場の様子を映像化していましたよね。
 
 (※これは武器格闘がメインです)
 
人間というのはこういうヒリヒリした緊張感が大好きです。
だからアクション映画とかはいつの世も消えることはありません。
それも脚本の流れは大して変わらないんですけどね。
 
そしてここにもプロレスと深く関係のある部分が隠れているんですが、それはまたのちほど取り上げます。
 
 
話が逸れました。
 
要するに格闘技は「見世物」として発展していった一面があります。
見世物(興行)ですから、お金を稼げなければいけません。
お金を稼ぐには客を呼ばなければいけませんから、興行主は観客を楽しませることを最優先します。
 
ものすごく強いからといって、すぐ試合が終わってしまっては観客は面白くない。
マイク・タイソンさんは当時、とてつもなく強かったために世界戦でも1R1分程度で終わってしまうので、元々のボクシング好き以外は楽しめてませんでした。
 
また地味なグラウンドの攻防はマニアにしか伝わらない。
かつてのUWF系が大都市圏では大人気でしたが地方ではまったく振るわなかったのはこれが原因です。 
 
これをみても分かるように興行が成り立たなくなります。
ボクシングが興行として成り立っているのは別の理由なのでそれは次回お話します。
 
そしてプロレスであろうと格闘技であろうと「大技(派手な技)」が決まる瞬間が一番盛り上がります。
 
ボクシングの試合でもショートアッパーよりカウンターのストレートでKOが盛り上がります。
柔道なら押さえ込み1本勝ちより豪快な投げ技1本勝ちが盛り上がります。
キックボクシングや空手もパンチよりハイキックでKOの方がより盛り上がります。
 
わかりやすい例として、K-1で人気者だった故・アンディ・フグさんを思い出してください。
彼は極真の大会で実績を出して乗り込んできましたが、なかなかK-1のリングで勝利を挙げられませんでした、それでも観客は試合中に彼の必殺技「かかと落とし」を見られるだけで満足をしていました。
 
観客は「その選手が使う特有の技を見たい!」という欲求も大きい訳です。
 
私はプロレスや格闘技をたくさん見つづけていたある日、違いはここにあるんだなと気が付きました。
もう分かりますよね?なぜプロレスラーが相手の技を受けるのか?
 
 

観客を楽しませるため

 
 
もう、これしかありません。
この部分が欠けてしまっては興行では無くなります。
 
 
観客を楽しませる為にダメージを度外視にしてでも相手の技を受け切る、そして勝利を目指す。
この観客を楽しませるという部分でもプロレスは「ガチ」な訳です。
格闘技系の興行ではこの部分が欠けているために興行ごとで盛り上がり方に差が出ます。
 
噛み合えば盛り上がる、そうでなければ全く盛り上がらずに終わってしまう。
プロレスの興行はそうはなりません。
どの興行でも一定レベルの盛り上がりがあります。
 
その理由は興行(見世物)として進化をしてきた結果、観客を楽しませることを最優先にするために、観客が望む選手同士の持ち技の攻防を見せる必要があるので「相手の技を受けている」からなんですね。
 
格闘技系団体では間違っても真似ができない方法です。
 
 
「なんだよ。やっぱりショーじゃんwww」
 
 
と、思った人は私が言った最初の前提を思い出してください。
 
 
「プロレスが格闘技」です。
 
 
格闘技=真剣勝負 だと思っているからこそ、この言葉が出てくるわけですが本当にそうか?という部分に踏み込みます。
 
次回はそこからプロレスとの違い、格闘技系が演出する真剣勝負を解説していきます。
 
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