プロレス技は千差万別です。
使い手が変われば、同じ技でも名前が変わります。
ウェスタン・ラリアットなんてその最右翼ですね。
さて今回紹介するプロレス技はこちらになります。
ドロップキック
(DROP KICK)
歴史
プロレスの代表的な飛び技であり蹴り技といえるドロップキックの創始者は ”ジャンピング”ジョー・サボルディさんです。
活躍した年代は1930年代ということで、真偽の程は正直不明です。
第二次大戦中はシカゴ・ベアーズでプレイするフットボウラーでもあり、スパイというウラの顔もあったんたとか。プロレスラーに本格的に転身したのは1931年ということです。
ちなみに ジョー・サボルディで検索するとFallout4という洋ゲー(海外のゲーム)が真っ先にでてきますのでご注意を!なんか関係あるんですかね?リスペクトとか。
そんなゲームの話は置いておきますが、このジョー・サボルディさんですが、ボディサイズが184cm 84kgということで、鈴木軍の ザック・セイバー・ジュニアさんみたいな体格だと思ってください。
当時はジュニアヘビーとかクルーザーなんて階級はない時代ですから、必然的にヘビー級と闘うことになるわけで、サブミッションもそこまで発展してなかったのか得意ではなかったのか、毎試合苦戦をしていたようです。
そこに当時の世界ヘビー級チャンピオンの ディック・シカットさんがアドバイスを贈りました。
「君は凄い運動神経を持っている。特に反射神経は抜群だ。その身体能力を活かしたフェイバリット・ムーブを考えるんだ!」
フェイバリット・ムーブとは得意技のことです。
ジョー・サボルディさんはそのアドバイスからこのドロップキックを考えだしたというのが通説になっています。
飛び技が無かった時代に現れたドロップキックは周囲に度肝を抜き、はれて”ジャンピング”の二つ名を手に入れたというわけです。
さて、そんなジョー・サボルディさんの写真資料を探してみるとですね。
殆どが Fallout4の画面写真ですよ(笑)で、その中から探し出した写真がこれです。
意外とイケメンなのかな?イタリア語が得意だったんだそうで、スパイに起用された理由はこれだったようです。
そんな”ジャンピング”ジョー・サボルディさんが編み出したドロップキックですが、形としては3種類です。
どれもヒザのバネを活かして飛び上がり足の裏で相手を蹴るという技です。
現在も多種多様なドロップキックが現在も使われています。
後ほど説明しますが、その全てが基本の3種類の組み合わせになり、その基本がキッチリと出来る選手のドロップキックは本当にキレイな形で写真に収まってくれます。
ちなみに調査途中でこんな貴重な動画を見つけました!
(貴重!!ジョー・サボルディさんの試合です)
現在の姿
基本の形は、先ほども説明した通り 3種類しかありません。
1)正面跳び
もっとも基本とされるドロップキックですが、創始者ジョー・サボルディさんはこの正面跳びと横跳びを使用していたようですね。先ほどの動画0:20辺りで繰り出しているのが正面跳びです。
両足で踏み切って足を揃えて相手を蹴る感じです。
技の後は背中からマットに落ちるような形になるため、次の行動に移りにくいことと自爆した時はダメージだけが残ってしまうデメリットがあります。
2)横跳び
同じく動画の0:30付近で連発しているのが横跳び式ですが、いまとほとんど変わりないですね。
それにしてもなんちゅうバネしてんだこの人
見て分かるように片足ずつ踏み切って相手を蹴りますが、必ずしも両足をそろえて蹴るわけではないですね。
特徴として次の行動に移りやすいことがあげられます。
オカダ・カズチカさんのドロップキックは高さもバランスも空中姿勢も本当にキレイですね。
カネの取れるドロップキックだと言われるのもわかります。
デメリットといいますか、落ちる際に横にゴロンと寝転んだ形になりやすいため、自分の足が揃ってしまい下になった方のヒザなんかを痛めてしまうケースが意外と多かったりします。
3)背面跳び
これはちょっと特殊なやり方で相手に背中を向けた状態で両足踏み切りからの技です。
丁度、正面式を裏返したようなものだと思えば間違いないですね。
カンガルーキックとも似ていますし、なかなかお目にかかることはないやり方ですね。
特徴としては、受け身が取りやすい事が挙げられます。
落ちる先が見えているというのはやはり大きいですね。
横跳び式のように自分の足が重なってしまい負傷するということもありません。
では、これをふまえて次の項目へ移りたいと思います。
派生技
3種類の組み合わせ+αで色んな顔をみせるのがドロップキックの良い所です。
低空ドロップキック
腰から下を狙って行うドロップキックです。
主にヒザを狙うことがおおいですね。
あとは長座(足を前に投げ出して尻もちをついたような状態)の相手の顔面を狙うシーンなどでよく観ることがあります。
高さがない分スピード感を感じることが出来るのが特徴で、タッグマッチの連携やルチャ系選手やムーブでよく使いますね。
高さでの違いで顔面を狙うタイプと胸板からお腹までを狙うタイプがありますが顔面を狙うのが現在の主流で原型もこの形に近く、胸板からお腹を狙うタイプは狙ったというよりはジャンプ力が足りなかったり、タイミングが会わずにそうなったパターンが多いように感じます。
(コーク)スクリュー・ドロップキック
イメージとしては、踏み切りの瞬間は横跳び式で相手にヒットしてから最後の着地までに背面式になるような感じです。横跳び式で紹介したオカダ・カズチカさんのドロップキックも厳密に言えばこちらになります。
現在一番多いスタイルはこれです。
次の行動を意識して行うスタイルで、連続ドロップキックを行おうとすると自然とこの形になっていきます。さっきのジョー・サボルディさんの動画でも後半の連続ドロップキックはこれになっていましたね。
ミル・マスカラスさんのドロップキックがこう呼ばれたのが始めだっと記憶していますが、漫画かなんかにはインパクトの瞬間にひねりを加えるので威力があがるとか書いてあったような気がします。
多分そんなことはないと思うんですけどね。
1回転式ドロップキック
ドロップキックを当てた後、バク転の要領で立ってしまう難易度の高い技です。
身体能力が高くないと難しい技ですね。
これも次の行動へすぐ移行できるメリットがありますし、見た目もアクロバティックでかっこいいですね。
串刺し式ドロップキック
現在ではよく見るスタイルです。
コーナーに追い詰めてから行うパターンになり、立っている状態と長座させた状態の2パターンに分かれます。
正面跳び式を使う場合が多く、長座の相手に使う場合は 後述するジョン・ウーという技名で呼ばれることが多くなり、それ以外のスタイルを使う場合は 低空串刺しドロップキック と呼ばれることになります。画像の柴田勝頼さんが使っているのは低空串刺しドロップキックになりますね。
カンガルーキック
背面跳び式の時に触れましたが、厳密には別の技と思ってください。
こちらは形が背面式になるというだけで、実際はエスケープ(脱出)用の技です。
後ろから羽交い締めにあった場合に腕を振りほどいてそのままカンガルーキックで相手との距離を取って仕切り直すというシーンで見かけることも多いかと思います。
ジョン・ウー
正面式低空ドロップキックと表現できるスタイルです。
SUWAさんがこの名称で使い始めたのが広まったような感じですね。
名前の由来は有名な香港映画界の巨匠の名前で、この技で吹っ飛んでいく相手の姿が、ジョン・ウー監督の映画で使われるワイヤーアクションシーンに似ていることから呼び始めたんだそうです。
あくまでも「低空式」であることが条件ですが、胸板辺りを狙うことが多いので、通常の正面跳びと見分け方としては相手の方へ走り込んでから使うのがジョン・ウーだと覚えてください。
ミサイルキック
うって変わって、こちらは上空高くから相手を狙うためにこう呼ばれています。
これも種類によって変わってきますがトップロープから狙う場合はこの名称で呼ばれます。
ふわりと浮いているようにみえる長滞空式や非常に急角度で相手を襲う急降下式などもこの形になります。
スワンダイブ式ドロップキック(ミサイルキック)
エプロンからトップロープへ飛び乗り、その反動を使って行うミサイルキックです。
ジュニアヘビー級の選手がよく使う見た目も派手でリング映えする技ですね。
32文ロケット砲
ジャイアント馬場さんの固有技です。
足のサイズが16文あると言われるので両足を使うから倍の32文という、とてもシンプルな命名です。
ただ、ジャイアント馬場さんは体重があるうえに受け身があまりうまくないため、着地の衝撃を上手く逃がせないため、なかなか出さない幻の技となっていました。
自分のダメージを考えて使わなかったことが、逆にプレミア感を産んだおもしろい例ですね。
まとめ
ドロップキックはプロレスの基本技とも言われます。
それでもなかなか使わない(使えない)選手が多いのも特徴ですね。
特に体重の重い選手は落下時に大きなダメージを負う可能性が高いので、あえて使用しない事が多いです。
受け身に自信のある選手は気にせず使ってきますけどね。
ジュニアヘビー級の選手はさすがにこれくらいは出来ないとさすがにヤバいかな?と思います。
そんな基本技のドロップキックですが、ジャーマン・スープレックス・ホールドとはまた別の華麗さがあり、非常にリングで映える技のひとつとなっています。
オカダ・カズチカさんではないですが「カネの取れるドロップキック」を使う選手は往々にしてエース級ですね。
試合の流れを変えるためにも非常に有効なこの技、試合中どのタイミングで出すか?なんかを見ておくとエース級の選手とそうでない選手で試合の組み立て方が違うのが見えてきたりしますよ。
それでは!
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