プロレス技は千差万別です。
使い手が変われば、同じ技でも名前が変わります。
ウェスタン・ラリアットなんてその最右翼ですね。
さて今回紹介するプロレス技はこちらになります。
バックドロップ
(BACKDROP)
歴史
一般的に創始者は”鉄人”ルー・テーズさんであると言われていますが、どうやら諸説あるらしい。
大正の時代に作られた説やもともとレスリングで使用されていたバック・スープレックスという反り投げが原型だとも言われているようですね。
どっちにしても近代プロレスでバックドロップをメジャーなものにしたのは”鉄人”ルー・テーズさんであることは間違いないので、気にしなくてもいいと思います。
この技の原型とされるのが、我が国日本の武道である「柔道」の捨身技のひとつ「裏投げ」と言われていますね。
私も学生時代に得意技のひとつにしていました。
当然、プロレス修行の一環で会得したわけですけどね。
技の形としては、相手のバックに周り脇の下に自分の頭を入れます。
ちょうど肩を組んだような感じですね。
そして自分の腕は相手の腰に回してクラッチします。
そのままブリッジをするように後ろに反りながら相手を投げるという技です。
当然ながら、相手は後頭部から落ちていくので非常に危険な技といえますから、安易に真似しないようにしましょう。
この投げ方にも数種類あって、それによって呼び名も変わったりします。
使い手のクセが出るのもこの技の特徴かもしれませんね。
また、ルー・テーズ式の最大の利点は体格差が全く関係ないということです。
現在の姿
バックドロップは幾つかの流れに分かれて発展しています。
まずは「男子」と「女子」で投げ方が変わってきます。
男子は先ほどのように腰を腕でクラッチして投げますが、女子は相手の片足を抱え上げて投げる方式になっていきます。
これは腕力の差があるためだという説が一般的ですね。
この女子式の投げ方を「抱え式」と呼ぶ場合もあります。
男子の方でいえば有名なのが「ヘソで投げる」と言われる「ルー・テーズ式」がありますね。
あとは女子とは違いますが、落とし方が同じ「寝かせつけ式(抱え式)」といわれるものがありますが、これは男子でも腕力の弱かったり体格差があったりした場合につかったりしますね。
もっと発展していくと、相手をより高い位置から叩きつけることに焦点を集めた長州力さんやマサ斎藤さんが得意とした「ぶっこ抜き式(捻り式)」と言われる方式に変化していき、馳浩さんを心肺停止に追い込んだ、後藤達俊さんの「垂直落下式」になり、それが究極的に危険度を増したのが、四天王時代に使われた「殺人バックドロップ」といわれる方式にまで発展しました。
さすがにここまでいくともう受け身がどうとかいうレベルじゃなかったのを思い出します。
脳天からマットに突き刺さってましたからね。
相手を抱える位置でもちょっと違いがあったりします。
ルー・テーズ式や殺人バックドロップは真後ろからクラッチして真後ろに投げますが、長州力さんの捻り式や後藤達俊さんの垂直落下式などは横から抱えて投げるタイプになっています。
抱え式はその中間といった感じでしょうか。
現在、ルー・テーズ式のバックドロップを使う選手は少なくなったように思いますね。
派生技
やはりバリエーションは沢山ありますね。
先ほど紹介したものから行きましょう。
抱え込み式バックドロップ
先ほど言った通り、かつての女子プロレスの選手が一般的に使う方式です。
利点は腕力が足りなくても投げることができるということと、相手をコントロールしやすいということでしょうか。
マイナス点は高さがでないことと、背中から落ちるので威力の点で他の方式に劣るという部分ですね。
男子では加齢によって腕力が無くなった選手がこの方式に切り替えたりしています。
ぶっこ抜き(捻り)式バックドロップ
これは横抱えの体勢からヒザのバネを使って一気に頭上高くまで抱え上げ、1/3程度身体を捻りながら肩口をおとしていく方法です。
使い手を見てもわかるとおりアマレス出身で相手を抱え上げるのを得意としている選手が好んで使っています。
この技の利点は高さを使った落下速度を威力に変えられることと、撚ることで受け身を取りにくく出来る点です。
マイナス面といえば体格差があると持ち上がらないということ、高く持ち上げようとする時に膝の屈伸がはいるため、そこで踏ん張られることがあるという点になるでしょうか。
体格差が無い場合はノーモーションでぶっこ抜けたりしますので油断の出来ない技ですね。
あとは見た目が非常にキレイです。かっこいいですよね。
垂直落下式バックドロップ
本当はこの後に紹介する殺人バックドロップも「垂直落下式」と呼ばれるんですが、明確な違いがあります。
後藤達俊式は横抱え、殺人式はルー・テーズ式なんですね。
これは後藤達俊さんが長州力さんの捻り式バックドロップをモチーフにしているからです。
クラッチの位置が腰よりも少し上になっていて、非常に持ち上げにくいはずなんですが、自分の方の位置を合わせることで器用に持ち上げて真っ逆さまに落としていきます。
横向きのまま落ちていくので、下になった方の肩にダメージが大きく掛かるのも特徴かもしれません。
後藤達俊さんはぶっこ抜いてから落とすまでにブリッジの力でさらに反動を加えるために、横抱え式にもかかわらず、真っ直ぐに相手が落ちていたのが印象的でしたね。
殺人バックドロップ
こちらも種別的には「垂直落下式」となりますが、先ほど説明したとおりこちらは真後ろに落ちる形になります。
しかも普通はバンプといって肩で受け身が取れるように落とすものですが、この技の開発者である”殺人医師”スティーブ・ウィリアムスさんは相手の”脳天”からマットに落としてしまいました。
当然ながら受け身なんか取れるわけがないので負傷者続出です。
しかし、当時のプロレスファンはちょっと過激なプロレスを望みすぎていたために、この技は受け入れられその後の全日本プロレス黄金時代を築く「四天王プロレス」の代名詞になっていきます。
多分、いまやったら完全にあんな危険な技は選手を潰すだけだ!という批判を食らうのは間違いない技といえます。
裏投げ
馳浩さんが使用する技ですが、これはバックドロップとも柔道の裏投げとも違う技になっています。原型はサンボの技です。名前が同じなので混同しやすいですね。
これ以外にも、バックドロップ・ホールドや当然ながら雪崩式、三沢光晴さんがよく使っていた旋回式なんていうものもありました。
まとめ
前回のコブラツイストに続いて今回もメジャーな大技を紹介しました。
バックドロップは基本的な投げ技のひとつとして色んな派生をしながら現在に伝わっていますが、やっぱりルー・テーズ式のヘソで投げるバックドロップはそのスピード感と必殺の説得力では抜きん出ていますね。
(開始1:25辺りでいきなり出ます!)
かなり前ですが、もう引退して久しかったルー・テーズさんがなにかのプレゼンターとして来日した時にある選手が突っかかっていって、一瞬で投げられてしまったのを覚えています。
あの見事なバックドロップを見るとやっぱり元祖はこの人だよなって感じましたね。
でも、私が好きなのは長州力さんの捻りの利いたバックドロップなんですけどね。
それでは!
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