プロレス技は千差万別です。
使い手が変われば、同じ技でも名前が変わります。
ウェスタン・ラリアットなんてその最右翼ですね。
使い手によって微妙な違いがあるために、そのレスラー固有の技になっていきます。
しかし、中には同じ技とはちょっと言えないのに同じ技扱いされているものがあります。
そんな中でも、私が昔から「これはさすがに違う技だよなぁ」って思うものを紹介します。
サソリ固め
勘違いの歴史
正式名称:スコーピオン・デスロック(SCORPION DEATHLOCK)
言わずと知れた ”革命戦士”長州力選手の得意技です。
開発者はプロレスの神様 カール・ゴッチ さんであると言われています。
なぜ明言出来ないかと言えば、カール・ゴッチ さんがサソリ固めを使っているシーンを私がみたことないからです。
もし、知ってる人がいたら教えてほしいくらいです。いやマジで
このサソリ固めですが、一般的にはその形が間違って伝わっているのが事実です。
本来ならば、腰、両足首、ヒザを同時に極める拷問技ですが、なぜか 腰、肩足首 だけにダメージを与える技として広まっています。
その技名はシャープ・シューター(SHARP SHOOTER)と呼ばれます。
技の命名者は”ヒットマン”ブレッド・ハートさんです。
オーエン・ハートさんのお兄さんですね。
このブレッド・ハートさんが、誰からシャープ・シューターを会得したのかというと、コナンという選手からだそうですね。
つまりは創始者のカール・ゴッチさんではありませんから、偽物ということになります。
これはあくまでも仮説です。
ただし、当時WWF(現・WWE)で活躍していたこともあり、世界的にこの技を広めたのはブレッド・ハートさんということになっています。
だから世界的に間違った形で広まってるともいえますけどね。
その後、スティングさんもフィニッシャーとして使い始めたこともあり、余計に間違って覚えられてしまいました。
その理由は、スティングさんのシンボルマークが「蠍(サソリ)」だったからです。
ただ、私に言わせれば、サソリ固めとシャープ・シューターは全く別物です。
それをこれから解説していきます。
似ているようで全く違う技
私の見解では シャープ・シューター は 片エビ固め の派生技です。
その理由は技の極め方を見れば一目瞭然です。
(出典:ALAS, 廿軒家プロレス)
クロスした足はホールドした足に乗ってるだけですね。
どこも極っていません。
一方の サソリ固め ですが、クロスした足の足首もしっかりと極められています。
その為に足が乗っている膝裏にも重量がかかり、そこにテコの原理でダメージが入っています。
こちらも片エビ固めの派生と言えば派生ですが、その完成度は全く別物ですね。
この写真はちょっと足のクロスがズレてますね。
違うのはこの部分だけなんですが、その威力たるや雲泥の差になります。
試しにやってみるとその威力の差はよくわかると思います。
簡単なのはシャープ・シューターですけどね。
しかも、長州力選手のサソリ固めは完全な形で決まった時、右手が自分のふくらはぎをつかむ形になりますから、締め付けはさらに強烈になり、自然と腰がガッツリと落ちますので、ほぼ脱出不可能です。
まさに「デスロック」と言うにふさわしい形になりますね。
実は入り方も違う
技の決め方にも特徴が出ます。
シャープ・シューターは前出のとおり 片エビ固め の派生であるために、相手を裏返す時には自分の脇に挟んだ足しかホールドしません。
完全に片エビ固めの返し方ですね。
一方のサソリ固めはクロスした足首も捻りながら裏返します。
(出典:【ベルベルジン】スタッフブログ)
この時に2/3ほど裏返った所で長州力選手は見栄を切るのが定番のムーブになっていました。
特にタッグマッチの時に相手コーナーを指差して威嚇した後に裏返すムーブはカッコよかった。
(出典:アンソニー松浦の四角いジャングル )
ちなみに 藤波辰爾選手が使っていた「掟破りの逆サソリ」はシャープ・シューターです。
そして決まった体勢もちょっと違っていて、シャープ・シューターは腰が高いのが特徴です。
これはお国柄もあるのかもしれませんけどね。
あと、長州力選手の足のなg・・・いや止めておきますか(笑
他にもあるこんな派生技
・テキサスクローバーホールド
”テキサスブロンコ”テリー・ファンクさんのオリジナル技です。
日本では棚橋弘至選手がよく使っていますね。
この技は腕の力に頼ることになるので、かなり難易度は高いです。
威力とか逃げやすさで言えば、こっちの方が容易かなと思いますね。
・サソリ弓矢固め
長州力選手が藤波辰爾選手と「名勝負数え歌」と言われる抗争を繰り広げていた頃に使っていた技です。
これはサソリ固めを警戒され、決まりにくくなったために苦肉の策として編み出したものだと思われます。
その証拠に本当に一時期だけ使用されただけに留まった幻の技といえます。
・トライアングル・スコーピオン
木村健悟さんが編み出したビックリ技です。
本来なら自分の脇に挟む足を、なんと自分の「股」に挟んで極めるというものです。
これにより両手がフリーになることで、タッグマッチなどでカットを防ぐ事ができるようになっていました。
私もテレビで初披露された時に観ましたが、唖然としたのを覚えています。
一番の衝撃は「カッコ悪い」ということですね(笑
そんなに長期間使っていなかったような気がします。
まとめ
似て非なる2つの技、サソリ固め と シャープ・シューター
どっちが良い悪いというのはありません。
ただ、同じ技として扱ってほしくないというのが正直な気持ちなんです。
逆エビ固め と 片エビ固め くらいに違う技と言ってもいいくらい。
そして、現在のマット界で正しいサソリ固めを使う選手は少ないです。
長州力選手の弟子でもある 石井智宏選手くらいじゃないかと思いますね。
決まった形がとても美しく、フィニッシャーとしても抜群の説得力を持った拷問技
サソリ固め
(スコーピオン・デスロック)
今でも充分にフィニッシャーとして説得力がある大技です。
決まった後にキレイに写真を撮れるのもいいですよね。
正統な極め方ができるレスラーの出現を私は心待ちにしています。
それでは!
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